お食い初めで用意するものの1つとして「梅干し」があります。
「赤ちゃんがこの先一生食べるものに困りませんように」と願うお食い初めの儀式では、漆の食器に赤飯や尾頭付きの鯛、煮物やお吸い物、香の物といった、豪華な一汁三菜のお料理を作ります。
そのお膳に「石のように丈夫な歯が生えますように」と、歯固め石と言われる小石を置きます。
梅干しは歯固め石の代用品だと思われがちですが、もともとはお食い初め膳の「香の物」として梅干しを用意し、同じお皿に歯固め石を置くのが正式なやり方だと言われています。
ここではお食い初めで梅干しを用意する意味や由来をご紹介します。
お食い初めに梅干しが使われる理由
梅干しは昔から日本人の食卓にとても馴染みのあるものです。
保存しやすく、健康にも良い食品であることから、長寿の縁起物としても知られています。
梅の実は冬の寒い時期を耐えしのいで、6月頃にようやく実をつけるので、お食い初めでは「梅の実のように辛抱強い子になるように」という意味が込められているといわれています。
また、梅干しのしわにちなんで「しわしわになるまで長生きできますように」という意味を込めて、健やかな成長を願うお食い初めでも使われるようになったと言われています。
お食い初めでの梅干しの使い方
お食い初め膳での梅干しの盛り付け方
お食い初めのお膳は盛り付ける位置にも決まりがあります。
梅干しを盛り付ける位置は「高杯」と言われる、お膳の中央です。
この図でいうと⑦の位置です。
ここは歯固め石を置く場所ですので、この高杯に、梅干しと歯固め石を盛り付けると良いでしょう。
香の物の位置である、右奥の「坪椀」に梅干しを置いて、高杯には歯固め石だけ置いてもかまいませんし、
正式なやり方にならって香の物の位置の坪椀に、梅干しと歯固め石を乗せて盛り付けるのも良いですね。
坪椀は図の中では⑥の位置です。
お食い初め儀式での梅干しの使い方
梅干しを香の物として用意した場合は、赤ちゃんの口の近くに運び、食べさせる真似をします。
正式には食べさせる順番にも決まりがありますが、赤ちゃんの機嫌や様子を見ながらすすめましょう。
食べさせる順番は、「ご飯もの」→「吸い物」→「ご飯もの」→「魚」→「ご飯もの」の順に3回繰り返すというものですので、参考にしてみてくださいね。
歯固め石の代用、または歯固め石と一緒に梅干しを用意した場合には、お箸の先を梅干しにあて「丈夫な歯が生えますように」と願いを込めてから、そのお箸で赤ちゃんの口元や歯茎に触れましょう。
お食い初めの儀式が終わった後の梅干しは、もちろん大人が食べて大丈夫です。
お赤飯と一緒に、またはお茶漬けなどにして、おいしくいただきましょう。
歯固め石の代用として梅干しを使っても大丈夫
歯固め石と一緒に梅干しを置くのが正式なやり方ではありますが、歯固め石の代用品として梅干しを使っても問題ありません。
歯固め石は、一般的にはお宮参りの際に神社でいただく事が多いです。
神社からいただかなかった場合は、河原や神社の境内で、きれいな石を探して代用してもかまいませんが、
小さい赤ちゃんがいる中で、きれいな小石を探すのも大変ですよね。
地域によっては歯固め石ではなくタコや栗、紅白餅を用意することもあるようですので、
ご家族や親せきに確認して、土地のものを用意するのも良いですね。
梅干しなら、スーパーでも手軽に手に入りますし、お家の冷蔵庫に常備されている方も多いのではないでしょうか。
歯固め石がなくて困っている場合は、ぜひ梅干しで代用しましょう。
縁起物の梅干しですので、歯固め石は既に用意しているという場合でも、一緒に梅干しを添えて盛り付けると良いですね。